トウキョウXの
真価と未来

宮城県生産者

宮城県生産者

トウキョウXとの出会い

養豚農家2代目の私がトウキョウX(以下、X)の飼育を始めたのは2007年からで、今年で18年目になります(2025年現在)。実はXを始める前にも、関東に豚肉を出荷していました。たまたま、以前から付き合いのあるバイヤーさんに強く勧められたのがきっかけです。

このXという豚は、飼育する上でいろいろと難しいことが多いです。発情しにくい、病気に弱い、産出数がばらばら、受胎率も低い。たくさん生んでたくさん出荷するという、一般的な養豚業界の事業モデルではなく、一頭ずつしっかり健康に育てて、高くても買いたいという消費者に向けて出荷するという哲学でやっています。だから、Xを導入した最初のころは他のブランド豚も手がけていましたが、途中からX一本に切り替えました。

Xにこだわる最大の理由は、東京都をはじめとする関係者の絶大な協力があるからです。関係者が生産から流通までを親身になってフォローしてくれるのが、このブランドの最大の強みです。普通は自分でつくったものを自分で売るのが養豚家の常識ですが、生産から流通までを一貫して公的機関がサポートするというのは、おそらく他にはないでしょう。

「クセがない」「脂がおいしい」味の秘密

Xの最も大きな特徴は、その「味」にあります。豚肉好きの人がよく言ってくれるのは、「やっぱり脂がおいしい」ということ。柔らかく、クセがないのが一番の特徴だと思います。我が家では、脂が嫌いな娘にXだと言わずに焼肉で出したところ、「おいしかった」と好評でした。焼く前は脂だらけに見えるのですが、これはXの遺伝形質の特徴によるもので、その脂に甘みと旨みが詰まっています。

美味しい豚を育てるために、私たちは発育と健康的な育成を重視しています。特に肥育前期には、おがくずをひいたところに放し、ある程度の面積を自由に歩けるようにしています。運動させすぎると筋肉が硬くなるというデメリットもありますが、健康的に育てることを第一に考えています。

安心して経営ができる、盤石な販売体制

Xの販売では、生産者が「これだけコストがかかるので、この価格で買ってくれませんか」と要望を出し、話し合いで単価を決める約束事ができています。これにより、コスト計算ができ、安心して豚を育てられる体制が整っているのが大きなメリットです。計画通りに育てて出荷すれば、予定どおりの売上がたつ、これは経営者として大きな安心感、安定感です。

流通先が東京なので長距離輸送となりますが、輸送コストも含めてメリットが出るような単価設定になっているため、心配はありません。さらに、東京都などの公的機関、生産組合のフォローがあるため、特定の豚だけ「いらない」と言われることなく、出荷すればきちんと買い取りしてもらえるのも非常に心強いです。

以前、自分で売り先を探して出荷していた時には、文句をつけて肉の買い取り価格を叩くような業者も一部にありましたが、Xではそのようなことがありません。これは生産者にとって良いことだらけで、関係者の協力・バックアップがあることで、業者もちゃんと話を聞いてくれるのです。

「トウキョウX」の真価と未来

業界の課題と目指す農場の形

現在の養豚業界は厳しい状況に直面しています。特に製造費である設備コストは、我々の若い頃と比べて2倍から3倍になっているにもかかわらず、販売単価はほぼ横ばいです。このままでは成り立たず、薄利多売の拡大経営をしないと生き残れないというのが現状です。

しかし、私は規模を増やすよりも、ある程度の数を維持した上で、肉豚一頭あたりの利益をどう上げていくかという経営を志向しています。規模拡大は豚舎整備などの設備投資が必要で、借金に直結しますから、そこから抜けたい人にはXのような豚がお勧めです。

そのためには、「高く買ってくれる人」を見つけることが重要であり、それはすなわち「美味しい豚」を求めている消費者層に焦点を合わせることです。美味しくて健康な豚を安定的に供給する、これによって安定的な経営が描けると思います。

息子が語る、養豚のやりがい

(家業を継いで本格的に養豚に取り組んでいる息子さんにも、仕事のやりがいについて聞きました。)

子どもの頃から、家に豚がいるのが生活の一部でした。家業を継いだのは、親孝行に近い気持ちもあります。

生き物相手なので、思ったような結果が出ないことも多いですが、子豚から出荷するまでの流れを見ると、やはり「やってて良かった」と思います。特に、東京で働く友人から「Xを食べたけど、すごくおいしかった、びっくりした」という話を聞くと、生産者として大きな達成感を感じます。

「トウキョウX」の真価と未来

未来への期待

私たちがXに期待しているのは、安心して、出荷価格に一喜一憂することなく生産に集中できる環境です。そうして「養豚業をやって良かったな」と思えるような経営ができればと思っています。

息子が胸を張って「うちの商売はこれだ」と言えるような形で、家業を継続していってほしいと思っています。

「トウキョウX」の真価と未来