最高級の豚肉を
育てる理由

東京都生産者

東京都生産者

曽祖父の代から続く養豚業の3代目で、この仕事に携わって約10年になります。以前は水道屋をやっていましたが、祖父が体調を崩した時に手伝ったのがきっかけで、家業を継ぐことを決めました。近くで見ていて大変な仕事だと思っていたのですが、手伝った時の祖父の喜びようを見て、僕もやっていこうかなと決心しました。

経営危機を救った「トウキョウX」への挑戦

一般豚からトウキョウX(以下、X)の肥育に完全に切り替えたのは3年前(2025年時点)で、一般豚とXを平行していた期間を含めてもまだXを飼い始めて日が浅いです。当時、一般豚は収益性が厳しく、正直な話をすると、Xをやっていなかったら廃業していたかもしれないと思います。

Xは買い取り単価が良いので、厳しい経営の中で利益を計算しやすい点に大きな魅力を感じました。現在は、Xだけを130頭から150頭前後肥育していますが、以前は一般豚を最大700頭ほど飼育していました。当時と比べて、現在の少ない規模のほうが利益は高いです。現在、年間約300頭を出荷していますが、経営を安定させるためにも、本当は年間500頭くらいまで出荷頭数を増やしたいと思っています。

「繊細な豚」を育てるための徹底した個別管理

Xは、繁殖が難しい豚だと言われています。うちは繁殖は行わず、東京都農林水産振興財団の青梅畜産センターから子豚を導入して、出荷までの肥育に専念する形をとっています。

ただ、肥育するだけでも、Xは環境の変化に敏感な「繊細な豚」だと感じます。特に気温の変化に弱いと思います。だからこそ、うちは小規模経営の強みを活かして、一頭一頭に時間をかけたこまめな管理を徹底しています。一日に5〜6回は豚舎に入って、水飲み場に来ない、咳をしている、元気がないなどの体調の異変をチェックしています。具合が悪そうであれば、解熱剤を与えるなどすぐに対処するようにしているので、たいていの子(豚)は元気になります。

また、子豚の導入時にも対策をして、死亡頭数を減らすことができました。適切なケアをすれば、Xも高い生存率を維持できるということが経験的にわかってきたところです。

最高級の豚肉を育てる理由

Xの魅力は「甘さ」と「匂いのなさ」

自分で育てた豚肉は定期的に食べるようにしています。Xの魅力は、何と言っても肉質の甘さ、イヤな匂いが全くない点です。

一番おすすめしたい食べ方は、炭火焼きではなく、フライパンでシンプルに塩コショウで焼くことです。炭の匂いが付かず、Xが持つ素材の味を一番感じられます。

Xの美味しさを本当に理解しているお客様は、価格ではなくブランドで選んで、「お金はいくらでも出す」という方が多いと聞きます。そういう方々が増えてくれると、生産者としても本当に嬉しいですね。

個人的な夢として、自分で育てた豚を自分で営業して売ってみたいという思いがあります。実際にやるとなったら難しいと思うのですが、販売することで「美味しかったよ」というお客様の声を直接聞きたいんです。生産者と消費者が直接コミュニケーションをとることが、Xの価値をさらに高めるカギだと思っています。

最高級の豚肉を育てる理由

業界の未来へ —次世代へのバトンと僕の夢

養豚業界は今、飼料代高騰など厳しい状況にあり、担い手がどんどん減っています。僕たち若い世代が、このXというブランドを次世代へつなげていきたいという思いで、若手生産者たちと青年部を立ち上げました。

青年部では、業界の課題解決や次世代への継承につながる活動を計画しています。僕自身は、他の農家さんのやり方を見る機会がないので、青年部の活動を通じて、いろいろな情報交換ができるのはありがたいですね。現場を訪ねることが難しいので、ふだんの作業の流れとか、豚舎の中とか、横のつながりで話ができるのは楽しみです。

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