トウキョウXとは?
About
トウキョウXは、高付加価値の銘柄豚をめざして、平成2年から7年間の歳月をかけて開発された日本初の合成系統豚です。北京黒豚、バークシャー種、デュロック種の3品種を掛け合わせることで、良質な脂肪、細かい筋線維、豊富な脂肪交雑という、それぞれの品種の特徴を併せ持っています。
トウキョウX 誕生の歴史

トウキョウXの開発が始まったのは、平成2年4月。当時から増加傾向にあった外国産輸入豚肉と差別化できる、高付加価値の銘柄豚の開発をめざしてトウキョウXは生まれました。
旧東京都畜産試験場(現・公益財団法人東京都農林水産振興財団)では、トウキョウXに先立って系統豚「エド」を開発してきましたが、差別化できる豚肉としては十分ではないため、さらに高い品質を持つブランド豚の登場が待たれていました。広大な農地を持たない東京の小規模な畜産農家でも、しっかりと収益を上げることができ、同時に、東京都民に安全安心で豊かな食生活を提供したい想いから、開発が進められました。
開発に要した歳月は7年間。 新しい系統をつくる上での品種として、北京黒豚、バークシャー、デュロックの3品種を使用、これらの交配により雑種第一代を作成し、この集団をもとに5世代に渡って選り抜かれた品種を、一つの系統「トウキョウX」として確立しました。
そして、平成9年7月、社団法人日本種豚登録協会(現・一般社団法人日本養豚協会)より日本初の合成系統豚「トウキョウX」として認定されたのです。
生体としてのトウキョウXの特徴
- 毛色
- 黒、茶、黒と茶の斑など
様々な毛色があります
- 体型
- 北京黒豚とバークシャー種の
体型を引き継ぎ、肩の部分が充実し、
力強い体型です
- 性格
- 落ち着いていますが、
デリケートな面もあるため、
のびのびとした環境を好みます
生産性・能力
生産性
生産成績は、一頭当たり産子数は約8頭となり、一般豚に比べるとやや劣っていますが、交配時期を遅らすと産子数が多くなります。母豚によっては13頭と多く生む個体もあります。
能力
- ロース断面積(ロースの太さ)
- 29.6
±2.38 ㎠
- 筋肉内脂肪交雑率(ロース内脂肪含量)
- 5.0
±1.93 %

- 一日あたり平均増体重(成長速度)
- 791.9
±120.9g/日
- 平均背脂肪厚(背の脂肪の厚さ)
- 2.75
±0.32 cm
飼育の特徴
トウキョウXは、現在、東京都内以外に、宮城県、山形県、茨城県、山梨県で飼養されています。その品質管理や安全性を確保するため、「TOKYO X生産に関する基本ルール」を設けて、飼育方法の取り決めを行い、生産・出荷を行っています。これが、「東京SaBAQ」という飼育理念です。
※「トウキョウX」は合成系統豚としての豚自体(生体)を表し、「TOKYO X」は食肉となったトウキョウXを表します。
- Safety
- 安全性
豚の健康状態を良好に保ち、病気にかからないように努めています。肥育期間は抗生物質を含まない指定飼料を使っています。
- Biotics
- 生命力学
TOKYO Xの美味しさのもととなる脂肪交雑(いわゆる“ サシ”)をより引き出すために、独自の栄養配合による指定飼料を3ヵ月以上与えています。
- Animal welfare
- 動物福祉
動物本来の生理機能に沿った飼育管理を行い、より健康な豚に育つよう心掛けています。ゆったりとしたスペースと充分な換気、十分な明るさをキープした豚舎で育てています。
- Quality
- 品質
脂肪の質と味が良い北京黒豚、筋線維が細かく肉質が良いバークシャー、脂肪交雑が入るデュロックの3品種から、それぞれの良いところを取り込んで改良しました。
トレーサビリティシステム
トウキョウXは、子豚に耳標を着けて1頭ずつ管理しています。豚に生産流通管理の仕組み(トレーサビリティ)を導入しているのは、全国的にもめずらしいことです。
この仕組みを用いて生産流通過程を把握するとともに、(公財)東京都農林水産振興財団青梅畜産センターでは、トレーサビリティシステムを活用し、個体データ(繁殖成績や枝肉成績)等の分析結果に基づく農家指導や、DNA鑑定による偽物流通の防止などの取組を行っています。


1頭ずつの管理は、生産者にとって手間がかかるものですが、偽装表示などの防止に役立ち、また生産から流通・販売まで一貫した取組を通じて、品質と安全安心を消費者に約束する証でもあります。